一般公差を書かなかっただけで、単価が3倍になった話【図面のヒヤリハット】
加工者は安全側に振るしかない
一般公差を書かなかっただけで
普通公差の等級を書かなかった図面で、単価の見積りが三倍で返ってきました。加工者は何も間違っていません。
何が起きたか
- 指示なき寸法の普通公差(JIS B 0405 の等級)が書かれていなかった
- 加工者は「外したら責任問題」と考え、精級で見積もった
- 本来は中級で十分な、単なる取付板だった
- 逆に粗く作られていれば、今度は組み付かなかった
指示のない寸法に対する普通公差、ジス ビー ゼロヨンゼロゴの等級が図面に書かれていませんでした。加工者の立場で考えてみてください。等級が書いていない図面で、勝手に粗く作って外したら責任問題です。だから安全側に振ります。この案件では精級で見積もられました。本来は中級で十分な、単なる取付板だったのにです。
この手戻りの損失(試算)
- 中級で加工した場合の単価 50個 — 62,500円
- 精級で見積もられた単価 50個 — 187,500円
- 差額(等級を書かなかったことによる) — 125,000円
- 再見積りと仕様確認のやり取り 2日 — —
中級で加工していれば六万二千五百円だったものが、精級では十八万七千五百円になりました。差額は十二万五千円です。これは加工者が悪いのではありません。情報が無い状態で判断を求められた側が、自分の責任にならないほうを選んだだけです。
どこで発覚し、どこで防げたか
- 設計
- 出図
- 見積り
- 材料手配
- 切断・加工
- 検査
- 組立
この型は、出図の直後に見積りとして表面化します。早く分かるぶんまだ良いのですが、問題は「なぜ高いのか」の理由が発注側に伝わらないことです。高いから他社にしよう、で終わってしまうと、図面に原因があったことは誰も知らないまま次の案件に進みます。
検図します。この図面には注記欄そのものがありません。読み込ませると、一般公差の指示がないという指摘が出ました。図面の文字をすべて結合したうえで、公差の等級を示す表現が含まれているかを照合しています。材質や表面処理の未記載も、同じ仕組みで同時に検出されます。
この型を防ぐには
- 公差は「書かない」と、高くなる方向にも組み付かない方向にも事故る
- 加工者は情報が無いとき、必ず自分の責任にならない側を選ぶ
- 注記の1行「普通公差は JIS B 0405 中級」で防げる
- テンプレート化して、毎回入っているかを機械的に確認する
公差は、書かないと両方向に事故ります。高くなる方向にも、組み付かない方向にもです。加工者は情報が無いとき、必ず自分の責任にならない側を選びます。防ぐのは簡単で、注記に一行、普通公差はジス ビー ゼロヨンゼロゴの中級とする、と書くだけです。テンプレート化して、毎回入っているかを機械的に確認してください。
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