表面粗さの図面指示|記号の書き方・読み方(JIS)と Ra の選び方の目安、書き忘れの見つけ方
約6分
表面粗さの図面指示を、JIS の記号の書き方・読み方から説明します。Ra の値の選び方の目安、その他の面をまとめる共通指示、書かないと起きること、書き忘れを自動で見つける方法を、実際の検図結果で示します。
寸法と公差は形の大きさを決めますが、面がどれだけ滑らかかは決めません。それを決めるのが表面粗さの指示です。はめあい面やシール面のように仕上げが機能に効く面では、粗さの指示が無いと、加工者は仕上げの程度を自分で決めるしかありません。この記事では、表面粗さの記号の書き方と読み方、Ra の値の選び方の目安、書き忘れの見つけ方を順に書きます。
表面粗さの図面指示とは
表面粗さは、加工した面に残る細かな凹凸の大きさです。図面では、面ごとに「この程度まで滑らかに仕上げる」という上限を数値で指示します。よく使うのは Ra(算術平均粗さ)で、単位は µm です。凹凸の高さを平均した値なので、数字が小さいほど滑らかな面になります。
もう一つよく見るのが Rz です。Rz は規格の版によって意味が変わっていて、現行の JIS では最大高さ粗さを指し、以前の十点平均粗さは RzJIS と書いて区別します。古い図面の Rz を読むときは、どちらの意味で書かれたかを確かめてください。
表面粗さの記号の書き方と読み方
表面粗さは、面を表す線(または引出線)に記号を当てて指示します。記号の形で加工のしかたを、記号に添えた文字で粗さの値を表します。
| 記号の形 | 意味 |
|---|---|
| 長さの違う 2 本の線でできた、レ点のような形(基本図示記号) | 加工のしかたを問わない |
| 基本図示記号の開いた側を横線で閉じ、三角形にしたもの | 除去加工(削る・研ぐ)をする面 |
| 基本図示記号の内側に円を入れたもの | 除去加工をしない面(素材のままの面) |
粗さの値は、記号の長いほうの線から横へ延ばした線の下に「Ra 3.2」のように、パラメータの記号と数値を並べて書きます。加工方法や筋目の方向を指定したいときは、記号のまわりの決まった位置に書き足します。
表面粗さの図面への書き方(JIS の共通指示)
部品のすべての面に記号を付けると、図面が記号で埋まります。そこで、大部分の面に当たる粗さを表題欄の近くか注記欄にまとめて書き、機能面だけに個別の記号を付けます。共通指示は、まとめて書いた記号の後ろに括弧で基本図示記号を添え、「個別に指示した面以外はこの値」という意味にします。文章で書くなら、次のような一行です。
- 1.「表面粗さ 指示なき箇所は Ra6.3 とする。」— 注記欄に文章で書くとき
- 2.機能面(はめあい・摺動・シール)には、図の上でその面に個別の記号と値を付ける
- 3.共通指示の値より細かい値だけを個別に付けると、どの面が大事な面か図面から読み取れる
記号の形や文字の位置の細かな決まりは、JIS B 0031(製品の幾何特性仕様―表面性状の図示方法)を参照してください。Ra・Rz などのパラメータの定義は JIS B 0601 にあります。▽ の数で仕上げの程度を表す三角記号は古い表し方で、現行の JIS の図示方法には含まれていませんが、古い図面では今も見かけます。
Ra の値の選び方の目安
Ra の値は、0.4・0.8・1.6・3.2・6.3・12.5・25 のように、ほぼ倍々に並んだ値から選ぶのが一般的です。どの値を選ぶかは面の機能で決め、細かくするほど加工の手間が増えます。よく使われる目安は次のとおりです。
| Ra(µm) | よく使われる面 |
|---|---|
| 12.5・25 | 機能に関わらない粗加工の面 |
| 6.3 | 一般的な切削面。共通指示によく使う |
| 3.2 | 他の部品と接する面、精度の要る切削面 |
| 1.6 | はめあい面、摺動面 |
| 0.8 以下 | 軸受がはまる面、シール面など。研削などの仕上げが要ることが多い |
表は目安で、規格が定めた対応表ではありません。同じ値でも、加工法・材質・ロットの大きさで手間は変わります。社内に基準があればそちらを優先し、迷う面は加工先に相談してください。必要以上に細かい値は、そのまま工数と単価に乗ります。
書かないと起きること
- 問い合わせが来る。仕上げの程度が分からないと加工工程が決まらず、見積や加工の前に設計へ確認が入る
- 仕上げが足りない。加工者が一般的な切削面で十分と判断すると、はめあい面やシール面で必要な滑らかさに届かない
- 仕上げが過剰になる。安全側に振って全面を細かく仕上げると、機能に関係ない面にまで手間と費用がかかる
- 検査の基準が無い。図面に値が無いので、粗さを測っても合否を決められない
一般公差と同じく、共通指示の一行は図面テンプレートに入れておけば抜けません。一般公差の書き方は、別の記事「一般公差(普通公差)の書き忘れ」で書いています。
表面粗さの書き忘れを自動で見つける
ズメケンは DXF(または CAD が出力した PDF)の文字を全文走査し、「Ra」「Rz」に続く数値、「Rmax」「表面粗さ」「粗さ」「SURFACE ROUGH」、三角記号の ▽ のいずれかがあるかを見ます。どれも無ければ、次の指摘を出します。
軽微表面粗さの指示がありません
判定根拠:図面テキスト全文を検索し、該当キーワードが1件も見つかりませんでした
※ 検図で実際に出る文言です。
注記欄の無い図面のサンプルで検図すると、表面粗さを含めて 5 件が出ます。材質の未記載が重大、一般公差が要修正、表面処理・表面粗さ・バリ取りが軽微です。表面粗さが軽微なのは、粗さの指示が要らない部品もあるためで、機能面がある部品では優先して直してください。
その場で試す
注記欄の無い図面(sample-notes.dxf) を検図すると:5 件の指摘。うち「表面粗さの指示がありません」が軽微で出ます。
保存したサンプルを検図ページへドロップしてください。処理はブラウザ内で完結し、図面は外部へ送信されません。
判定は文字の照合なので、同じ図面には同じ結果が返り、根拠(何を探して何件見つかったか)が付きます。処理はブラウザの中で終わり、図面は外へ送られません。
自動判定でできないこと
- Ra の値が面の機能に合っているかは判定しません。シール面に Ra6.3 と書いてあっても、指摘は出ません
- 図面のどこかに該当する語が 1 つあれば「指示あり」になります。機能面ごとに記号が付いているか、抜けている面があるかまでは見ません
- 記号を線だけで描き、値を文字で書いていない場合は、文字として読めないので指示が無いものとして扱います
- 表題欄に「表面粗さ」という欄の見出しだけがあり、中身が空でも、語があるので指摘は出ません
- 旧い三角記号(▽)は指示ありとして通します。現行の JIS の書き方に直すべきかは判定しません
- 文字が画像になっている図面(スキャンした PDF など)は読めません
自動で見つかるのは、表面粗さの指示が図面に「あるか、無いか」だけです。共通指示の一行が抜けていることを機械に任せておけば、人はどの面にどの値を付けるかという、設計の判断に時間を使えます。
よくある質問
- 表面粗さの図面指示は JIS のどの規格を見ればよいですか
- 図面への書き方(記号の形や文字の位置)は JIS B 0031、Ra・Rz などのパラメータの定義は JIS B 0601 です。図面の記号だけ確かめたいときは JIS B 0031 を見てください。
- 表面粗さの記号は全部の面に書く必要がありますか
- ありません。大部分の面に当たる値を注記欄や表題欄の近くに共通指示として書き、はめあい面やシール面など機能に効く面だけに個別の記号を付けるのが一般的です。
- 検図ツールは Ra の値が正しいかも見てくれますか
- 見ません。判定できるのは表面粗さの指示が図面にあるかどうかだけです。どの面にどの値が要るかは、部品の機能と加工法から設計者が決めます。
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