検図チェックリスト|機械設計の図面で見る項目(寸法・穴・注記・表題欄)と自動で見られる範囲
約7分
検図チェックリストとして、機械設計の図面で確認する項目を寸法・穴・注記・表題欄に分けて一覧にしました。そのまま使える図面チェックリストと、どの項目を自動で判定できるかを、実際の検図結果で示します。
検図は、人によって見る場所が変わりやすい作業です。寸法をよく見る人は注記を見落とし、表題欄をよく見る人は穴の位置寸法を見落とします。チェックリストを持つのは、見る人が変わっても見る項目を変えないためです。この記事では、機械部品の図面で確認する項目を寸法・穴・注記・表題欄の 4 つに分けて一覧にし、そのうちどれが機械で判定でき、どれが人の目で見るしかないかを分けて書きます。
検図チェックリストを使う理由
図面の不備の多くは、難しい設計判断の誤りではなく「書き忘れ」と「計算の食い違い」です。どちらも、見る項目が決まっていれば見つかります。見る項目が決まっていないと、図面ごとに目が向く場所が変わり、同じ種類の抜けが繰り返し出図されます。
- 見る人による差が減る。新人とベテランで、少なくとも「見た項目」は揃う
- 見た記録が残る。チェックした項目と日付があれば、後で抜けが見つかったときに原因をたどれる
- テンプレートの抜けに気づく。同じ項目で毎回引っかかるなら、図面テンプレートの側を直せばよい
- 機械に任せる範囲を決められる。項目が並んでいれば、機械で判定できるものとできないものを分けられる
機械設計の検図チェックリスト(そのまま使える一覧)
機械加工・板金の単品図を想定した図面チェックリストです。会社や製品によって足す項目はありますが、ここに挙げたものはどの図面にも共通して効きます。
寸法
- 寸法値が作図した形状と合っているか(CAD で寸法値を手で書き換えていないか)
- 内訳の寸法を足した値が、全体寸法と合っているか
- 加工に要る寸法が抜けていないか。同じ寸法が二重に入っていないか
- 寸法の基準(どの面・どの穴から測るか)が揃っているか
- はめあい・位置決めなど、機能上きつい寸法に個別の公差が入っているか
穴
- すべての穴に、縦・横の位置寸法があるか
- すべての穴に、径の寸法(φ)があるか
- ねじ穴は呼び径と深さ、座ぐりは径と深さが書かれているか
- 座ぐりの径と深さに、使うボルトの頭が収まるか
- 同じ穴が並ぶときは、個数とピッチの指示で揃っているか
注記
- 一般公差(普通公差)の規格と等級
- 表面処理(めっき・アルマイト・塗装など。不要なら「生地のまま」)
- 表面粗さ(機能面の個別指示と、その他の面の共通指示)
- バリ取り・エッジ処理
- 熱処理など、部品に要る処理がほかにあればその指示
表題欄
- 材質(JIS の材料記号。板材なら板厚も)
- 尺度
- 投影法(第三角法・第一角法)
- 図番・品名
- 改訂の記号と履歴、作成・検図・承認の欄
一般公差と材質の書き方は、別の記事「一般公差(普通公差)の書き忘れ」「図面の材質の書き方」で詳しく書いています。
チェックリストのうち、自動で判定できる項目
上の一覧のうち、「書いてあるか」と「数が合っているか」で決まる項目は、図面のデータから機械的に判定できます。ズメケンの検図が見ている項目を、一覧と対応させると次のとおりです。
| チェックリストの項目 | 自動の判定 | 判定の仕方 |
|---|---|---|
| 寸法値と形状の一致 | する | 手で書き換えた寸法値と、その寸法が測っている実際の長さを比べる |
| 内訳の合計と全体寸法 | する | 水平・垂直に並んだ寸法で、全体寸法の区間を隙間なく埋める内訳を探して足す |
| 穴の位置寸法 | する | 穴の中心に寸法補助線がつながった寸法が、縦・横の両方にあるか |
| 穴の径寸法 | する | 穴の径と同じ値の直径・半径寸法があるか |
| 座ぐりとボルト頭 | する | 座ぐりと判定できた穴について、六角穴付きボルトの頭が径・深さに収まるか |
| 注記(一般公差・表面処理・表面粗さ・バリ取り) | する | 図面の文字を全文検索し、該当する語があるか |
| 表題欄(材質・尺度・投影法) | する | 同じく全文検索で、該当する語や記号の形があるか |
| 寸法の基準・公差の値・図番・承認欄 | しない | 人が見る |
サンプルのブラケットは、4 隅の取付穴 φ8 と中央の穴 φ16 がある板金部品の図面です。表題欄には図番・尺度・投影法があり、注記欄と材質はありません。検図すると、寸法の食い違いから次の指摘が出ます。
重大記入されている寸法値が実際の形状と一致しません
判定根拠:記入値 100 / 実形状 95
※ 検図で実際に出る文言です。
重大水平方向の寸法合計が全体寸法と一致しません
判定根拠:25 + 40 + 30 = 95 に対し、全体寸法は 100(差 5)
※ 検図で実際に出る文言です。
要修正φ16 の穴に位置寸法が定義されていません
判定根拠:中心 (47.5, 30) にスナップする寸法が0件
※ 検図で実際に出る文言です。
全幅は 100 と書かれていますが、形状は 95 で、内訳 25 + 40 + 30 も 95 です。全幅の寸法値だけが手で書き換えられています。紙の上で見ると数字は整って見えるので、目視の検図では気づきにくい種類の食い違いです。一方、4 隅の φ8 の穴は位置寸法と径寸法が正しく入っているので、指摘は出ません。
その場で試す
取付穴 4 か所の板金ブラケット(sample-bracket.dxf) を検図すると:8 件の指摘。寸法の食い違い 2 件と材質の未記載が重大、φ16 の位置寸法と一般公差が要修正、表面処理・表面粗さ・バリ取りが軽微で出ます。
保存したサンプルを検図ページへドロップしてください。処理はブラウザ内で完結し、図面は外部へ送信されません。
判定は図面のデータに対する計算と文字の照合なので、同じ図面には同じ結果が返り、指摘ごとに根拠(どの値を比べたか、何を探したか)が付きます。処理はブラウザの中で終わり、図面は外へ送られません。検図の結果はチェックシートとして出力でき、チェックリストの記録の代わりに残せます。
自動判定でできないこと
- 寸法の基準の取り方、公差の値、はめあいの選び方が正しいかは判定しません。設計の意図は図面のデータからは決められません
- 寸法値を書き換えていない寸法は、形状どおりの値が出るので「形状と一致」になります。形状そのものを描き間違えていれば、寸法もそのまま間違います
- 内訳の合計は、水平・垂直の長さ寸法が 3 本以上並んでいる方向でしか確かめません。斜めの寸法や角度は対象外です
- 個数とピッチの指示(例:4-φ8 等配)や穴明細表で位置を指示した穴は、位置寸法なしとして指摘されることがあります
- 注記と表題欄は「その語があるか」だけを見ます。等級や材質が適切か、欄の中身が埋まっているかまでは見ません
- 軽微な指摘は、画面が埋もれないよう 3 件までに絞って出します。直したあと検図し直すと、次の軽微な指摘が出ることがあります
- 図番・品名・改訂履歴・承認欄は判定しません。文字が画像になっている図面(スキャンした PDF など)は読めません
自動で見られるのは、チェックリストのうち「書き忘れ」と「数の食い違い」の項目です。そこを先に機械で片付けておくと、人は基準の取り方や公差の妥当性のような、判断の要る項目に時間を使えます。
よくある質問
- 図面チェックリストには最低限どの項目を入れればよいですか
- 寸法(形状との一致、内訳と全体の合計)、穴(位置と径)、注記(一般公差・表面処理・表面粗さ・バリ取り)、表題欄(材質・尺度・投影法)の 4 つの区分を入れておくと、書き忘れの多くを拾えます。会社や製品に固有の項目はそこに足してください。
- 検図チェックリストの項目は全部自動化できますか
- できません。書いてあるかどうか、数が合っているかどうかは自動で判定できますが、寸法の基準の取り方や公差の値の妥当性は設計の判断なので、人が見る必要があります。
- 機械設計の検図で見落としやすいのはどこですか
- 寸法値を手で書き換えたことによる形状との食い違いと、内訳の合計が全体寸法と合わないことです。数字だけを見ると整っているので、目視では気づきにくくなります。
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